
唐突に文章を書きたくなりました。ですが散文です。
今おそらく気分が、良くも悪くも落ち着いていないのかも知れません。私としては考えをまとめるために、これを書いているつもりですが、おもに自身の心の状態のことなので、読んでくださる方によっては、ものすごく暗い内容に感じるかも知れません。引き返してもらえると助かります。
ここ2年、連載と他の長期の案件と、短期の案件をいくつか抱えながら走り抜けた疲れが、今一気に心体にきている気がしています。加えて人間関係での変化や世界情勢、その他諸々、大きすぎる情報と情報が重なり、ぶつかり、この状態で2年間、よく走り抜けてこられたなと、今更ながら考えてゾッとします。良い意味でハイになっていたのでなんとか乗り切れたのだと思います。
毎月脚本をいただいてネームに取り掛かり、完成させる月刊漫画連載は、非常にライブ感があり、自分の脚色力や演出力で、脚本家さんの考えるこの世界観をどう表現できるのか、短期間でどこまで力を出せるのか、とても試されました。お話自体も「魔法」に対してあまりピンとこない私が避けてきた、いろんな魔法や人種が飛び交うファンタジーの世界観で、とても勉強になりました。頭が硬くなってしまっている自分の殻を破りたいとずっと思っていたので、完全ファンタジー作品に対しての苦手意識をどこまで払拭できるか、自分を試して世界を広げられる、本当にいい機会をいただけて光栄でした。
私としてはかなり頑張ってこの世界観を表現していたつもりですが、読んでくださっていた方の中には、完全ファンタジー作品としての絵の物足りなさを感じる方もいらっしゃったのではないかと思います。空港に取材に行かせていただいたり、実際に飛行機に乗ってみたり(飛行機に乗るのは15年ぶりでした)、空港の雰囲気はファンタジーの世界でもなんとか落とし込むことはできたのかな?と思うのですが、そこに「魔法」というのをどう表現すればいいのか、日々手探りで仕事をしていました。今でも考えれば考えるほど「魔法」とはなんなんだろう?となってしまうので、しっかりと答えが見つからないままではあります。
「魔法は魔法じゃん」と簡単に考えられたらいいのですが、子供の頃からアニメや映画を見ていても、「どうやったらあんなことができるようになるんだろう」と、現実と非現実の境があまりわからないが故に、魔法に現実性を求めようとしていました。杖を振っても当然何も起こらないし、箒で空を飛べないのが、本当にとても悲しかったのを覚えています。どうしたって飛べないのは当たり前なのですが、なんで自分に魔法が使えないのかわからなくて、その頃から、「魔法」に対しての懐疑性が生まれたように思います。
「こんなことができないのはわかっているけれど、できたらいいのにな」という願望で、魔法のファンタジー作品を考えることが、私にはとても難しかった。できないのがわかっていることに対して、憧れても意味がないと思っていたのかも知れません。そのまま大人になってしまったので、とても冷めた子供だったなあと思います。
そう思い返すと、私は憧れで漫画を描いたことが、全くない気がします。「地球上のどこかにもしかしたらこんな場所があって、そこではこういう人たちがこのように生活しているかも知れない。」という、妄想はよくしていて、「こんな場所に行きたい」や「こんなことがしてみたい」を、漫画に描けたことがありません。デビューは少女漫画雑誌でしたが、当然、読者さんに夢見てもらえるような作品を描くことができなかった。辛い現実と向き合って乗り越える作品が、自分が一番描きたかった物語でした。
「魔法」は私にとって、まだまだ難しいテーマです。夢を見てもらうのも、とても難しいです。
夢とか未来はうまく描けないかもしれないけれど、今現在とか、変えられない過去とかをどうにかしたい人に、感情を共有してもらえるような物語を描いていきたいです。
散文でした。考えをまとめるのにブログはいいなと思います。もし最後まで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、本当にありがとうございます。
めんどくさい自分がいやだなと思うことは毎日だけど、このめんどくささがあったから、この仕事ができているのかもしれない。(周りにご迷惑をおかけしていたら本当に申し訳ないのですが…)
2024年もめんどくさい自分としぶとく生きていきます。
